楽譜が読めないという人のためのチェック

楽譜は簡単なものです。
僕が小学1年生に指導したケースですと、カンのいい子なら20分で楽譜が読めるようになりましたし、そうでない子でも2時間あれば楽譜が読めるようになりました。

しかし、(小学1年生より上で)2時間頑張っても楽譜が全く読めないという人もいます。
その理由はいくつかあるのですが、おそらく想定されるのは、記憶力の(重大な)問題です。

この、記憶力に問題がある場合は、楽譜にドレミを書くことでとりあえず楽譜を見て演奏することはできますが、逆にいうとドレミをすべての音符に書かない限り絶対に演奏できません。
(しかも、この場合楽譜を見て演奏してはいません。ドレミだけを見ています)

なぜなら、「ドレミがどの音符に対応するか」ということが記憶できないからです。
暗記がすべて、とはいいませんがどうしても記憶力に頼らざるを得ない部分はありますので、あなたが記憶力の重大な問題を持っているかどうかを、ここでチェックしてみましょう。

ステップ1 最短の記憶を維持できるか

上の譜面を見てください。そこに書いてあるとおり、はじめの黒い音符は「ミ」です。
あなたは、この譜面にこれ以上何も書き加えずにどこまで演奏できるでしょうか。

  1. 何も演奏できない
  2. 赤い音符は演奏できるが、黄色と緑の音符は演奏できない
  3. 赤と黄色の音符は演奏できるが、緑の音符は演奏できない
  4. 赤、黄色、緑の音符すべて演奏できる

もし、1または2だと、非常に深刻なレベルの記憶力です。
なぜなら、隣りにある同じ高さの音符が「ミ」であることを記憶できないからです。
この場合、記憶に関する専門的な訓練が必要です。
3は、記憶力に問題がありますがおそらくそれほど大きな訓練を必要としないでしょう。
4ならば、記憶力の問題は小さいと思います。次のステップのチェックに挑んでください。

ステップ2 記憶を少し長い時間保持できるかどうか

目で見た情報を認識しそれを記憶しますが、その記憶がどれくらい保持できるかによって記憶力の差は現れます。下の楽譜を見てください。


この楽譜の始めの音符は「ミ」です。その後8回のミが現れます。
あなたは、この譜面にこれ以上何も書き加えずにどこまで演奏できるでしょうか。
(メロディは難しいので、あなた自身の演奏技術を越えているかもしれません。これが演奏できるとしてお答えください。)

  • ①も演奏できない
  • ①だけ演奏できる
  • ②まで演奏できる
  • ③まで演奏できる
  • ④まで演奏できる
  • ⑤まで演奏できる
  • ⑥まで演奏できる
  • ⑦まで演奏できる
  • ⑧まですべて演奏できる

記憶力に問題がないと言えるのは、⑧まですべて演奏できる状態です。
それ以外は、はじめの音符が「ミ」であることを認識したものの、それを記憶し続けられなかったのです。

特に①も演奏できない場合は、記憶を保持する能力が大幅に欠落しています。
ハムスターの脳みそ(ハムみそ)と同等レベルであるといえます。

ハムスター(○○ちゃん)は、ご飯を食べているときに飼い主が「○○ちゃ〜ん❤」と名前を呼ぶと、飼い主の方を振り向いて返事をしますが、その後「自分がメシ喰っている」ということを忘れてしまいますので、「僕は今一体何をしているんだろうか!」と戸惑ってしまいます。

つまりハムスターには、1つの記憶領域しかなく、新しい情報が入ってしまうとそれ以前の記憶は押し流されてしまい、取り戻せなくなるのです。
これがハムみそというものです。

ハムみそでは、楽譜は読めない

高度な暗記能力は必要ではありません。先程の「ステップ2」のチェックだと、仮にテンポ120BPMであれを演奏した場合、最後までの時間数は8秒です。
人間の記憶領域は1つではなく複数あります。その中に入った記憶を8秒間残せるかどうかが先程のチェックの要点です。

ハムみそでは、次々現れる音符によって、はじめの音符が「ミ」であることを記憶から失ってしまいます。
この状態ですと、音楽にチャレンジするよりは、記憶力をもう少し改善することを優先しなければなりません。

記憶を更新する

しかし、1つの記憶をずっと粘り強く維持し続けるというのは決して簡単なことではありません。それは誰にとっても大きな負担であり、現実的に意味を持ちません。

やるべきことは「記憶を更新すること」です。

これは先程の楽譜ですが、①を演奏したときには「これはミなんだ」と改めて認識し直し、②を演奏したときに「これもミなんだ」と改めて認識し直し・・・・というように記憶を更新していくのです。

そうすれば長い時間記憶を維持する必要性が薄れ、仮に8秒も記憶できない人でも、その都度その都度記憶を更新していれば、どんなに長い曲であろうと、はじめの音符と同じ高さにある音符は「ミ」であることを忘れずにとどめておけるわけです。

記憶力に問題がないなら、ソルフェージュ!

もし上記のステップ1、ステップ2のチェックを無事にクリアできたならば、記憶力に問題はありません。それなら、あとはソルフェージュの練習です。

楽譜を読むのではなく、楽譜を見てドレミで歌うことで、視覚と聴覚と運動の統合が行われます。

ソルフェージュの基本的な方法についてはいつかまた別記事で紹介するかもしれません。

漫画を読んだ人なら経験あるかもしれません

漫画を読んだ時、数々のセリフからまるで声が聞こえてくるような感覚を持ったことはありますか。
楽譜を読めるようになると、この現象がおきます。


つまり、楽譜を見るだけで音が聞こえてくるという不思議な現象です。
ここに至ることができれば、本当の意味で楽譜が読めるようになったということになります。

2件のコメント

  1. 昔、マンガの台詞を、なぜか音読する、趣味?が有りました。
    マンガの中に出て来る歌手の詞に、曲を付けて、音読したり。(・・;)

    1. 視覚と聴覚が見事に統合している感じですね。
      漫画の作者さんがそれを知ったら、きっとおお喜び・・・

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